Green, Forest and Nature.

WEBLOG articles by the Vice Chairperson of The Mountain Naturalist Club

山の自然学クラブでの活動について・砂防緑化の視点から

山の自然学クラブの理事を務めさせていただいております。役割としては、森林および植生の復元、緑化、自然再生の分野を担当しています。専門(大学における専攻分野)は造林学と緑化工学でした。

大学生の時に司書と学芸員の資格を取得しました。司書の資格を取得するには図書館での実習が、学芸員の資格を取得するには博物館等の施設での実習が必須とされています。
大学では治山・緑化工学研究室に在籍していましたので、司書の図書館実習については、都内にある専門図書館・砂防図書館にお願いして実習をさせて頂きました。大学の先生から問い合わせ、依頼をしていただき、実習が実現しました。

折しも図書館では膨大な蔵書を分類しようとされていたところ、「専門知識のある学生さんが来てくれるのなら分類体系を作成して、蔵書の分類に当たって下さい」との身に余る課題を頂戴しました。
司書の講義で教わった一般的な(総合的な)分類はあまり役に立ちません。普通の図書館ではほとんどひとつの分類で収まってしまうような内容の専門的な資料がほとんどであったからです。学芸員の講義で得た知識も活かしながら、何とか独自の分類方法を考えました。そして作成した分類に基づいて蔵書の分類をさせて頂きましたが、その作業は結果として、山のような冊数の赤木記念図書を一通り目にするというたいへんありがたい作業になりました。
この作業は実習を受け入れて頂いた数日でできるはずはありません。このご縁がきっかけとなり、その後数年間、週に1,2日通いながら蔵書の分類を完成させていくこととなりました。

司書の勉強をしたことが自分の研究に活かし切れているのかどうか、全く自信はありませんが、このときに目にした蔵書が自分の知識と行動規範の一部になっていることは確かです。
砂防図書館でお世話になった皆様には本当に感謝しています。また、当時の矢野館長の高い見識に感銘を受けたことも印象深くおぼえています。
「赤木記念図書」として受け入れたこれらの資料は、砂防の父ともいわれる赤木正雄氏のご遺族から賜った蔵書でした。赤木氏は砂防の先人で 大正時代に内務省で砂防事業に携わっていた方ですが昭和46年に文化勲章を受け、その翌年になくなりました。その年は筆者が生まれた年でもありますので、勝手にご縁を感じてしまっております。

質の高い緑・植生・生態系を保つことで、より好ましい自然環境を残すことが緑化の目的だと考えています。
日本列島に生を受けた私たちにとって、自然回復・環境復元は切っても切り離すことの出来ないものです。災害の復旧や防災について、きちんと考え、整理しながら生きていくことが私たちにとってたいへん大切なことだと思います。

旧石器時代から人が住んできた日本列島の自然は、人間社会の中に、そしてすぐそばにありながら変化してきました。危険な植物を減らしたり、役に立つ植物を増やしたり改変し、山を削ったり埋めたり、河川を付け替えたり堀り抜いたり、そんな日々の暮らしを数万年続け、経た姿が今の日本の自然景観や植生を構成しています。
植生を中心に見ると、先の大戦が終わる頃が 近年において一番植物が少なくなっていた時期だと言えるでしょう。疲弊した国土を少しずつ、一歩一歩、緑にかえてきてくれた先輩たちの努力を無駄にしないためにも、より豊かな日本列島を、そして地球を残していきたいものです。